日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナAtNUDX1による酸化的DNA損傷修復機構の解析
*小川 貴央吉村 和也重岡 成
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p. 344

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抄録
ゲノムDNAやその前駆体であるヌクレオチドは常に活性酸素(AOS)によって酸化される危険に曝されている。それに対して、大腸菌やヒトではヌクレオチドプールの浄化(MutT, MTH1)および塩基除去修復(MutM, OGG1, MutY)からなる防御機構により酸化ヌクレオチドによる突然変異の発生を防いでいる。我々はこれまでに、シロイヌナズナNudix hydrolaseファミリーの一つであるAtNUDX1は酸化ヌクレオチド [8-oxo-(d)GTP] に対する加水分解活性を有し、大腸菌mutT欠損株の突然変異を抑制することを示した。そこで本研究では、AtNUDX1および塩基除去修復酵素の機能解析を行った。AtNUDX1は大腸菌mutT欠損株における8-oxo-GTPによるmRNAへの転写エラー発生頻度を抑制した。シロイヌナズナNUDX1破壊株では通常条件下におけるゲノム中の8-oxo-グアニン量が野生株と比較して約1.5倍に増加していた。さらに、パラコートによる酸化ストレス暴露により、8-oxo-グアニン量は約2倍にまで増加した。これらのことから、AtNUDX1は酸化ヌクレオチドプールの浄化に機能していることが示唆された。現在、AtNUDX1および塩基除去修復に関わるAtOGG1およびAtMMHの細胞内局在性について解析を行っている。
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© 2007 日本植物生理学会
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