日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ヨシ茎特異的なカドミウム蓄積機構の解明
*金井 雅武樋口 恭子藤田 直子中村 保典前田 良之吉羽 雅昭但野 利秋
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p. 356

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抄録
ヨシ(Phagmites communis)はカドミウム耐性植物であり、100μM CdCl2でも生育可能である。100μM CdCl2で1週間生育させた茎のカドミウム含量は0.15mg/gDW、葉身では0.05mg/gDWであり茎の1/3であった。葉身の細胞壁結合性カドミウムは葉身全体のカドミウムの7割であったが、茎では5割であり、ヨシ茎は細胞内にも多量のカドミウムを集積させていることが示唆された。またカドミウム処理により茎特異的にデンプン顆粒が蓄積することが分かったが、この顆粒のカドミウム蓄積量はわずかであった。そこで我々はヨシ茎の細胞内カドミウム結合分子の特定を試みた。ヨシ茎の細胞内液を限外ろ過分画し、各分画のカドミウム含量を測定したところ、分子量3000以下と10000~50000において高い含量であった。SH基を定量したところ10000~50000画分においてSH基は少量であり、カドミウム処理による上昇も認められなかったが糖含量は処理により上昇した。これより10000~50000画分において、これまでに報告されているカドミウムをキレートするペプチド、ファイトキレーチンではない糖を含むカドミウム結合性高分子化合物が存在することが示唆された。現在、このカドミウム結合性高分子化合物の同定、デンプン顆粒との関係を検討中である。
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© 2007 日本植物生理学会
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