日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナにおけるmicroRNAを介した銅欠乏環境への適応機構解明
*山崎 広顕Abdel-Ghany Salah ECohu Christopher M小林 善親Pilon Marinus鹿内 利治
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p. 357

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抄録
銅はすべての生物種において必須な微量金属である。高等植物における主要な銅タンパク質としては光合成電子伝達に関与するプラストシアニン(PC)や活性酸素消去系に関与するCu/ZnSOD (CSD)がよく知られており、シロイヌナズナにおいてCSDは細胞質と葉緑体に局在している(CSD1&CSD2)。このように銅は高等植物にとって必須である一方、過剰な銅は極めて有毒である。そのため細胞内において銅濃度は厳密に制御される必要がある。これまでの我々の実験からCSD1、CSD2の発現は銅欠乏条件下において共にdown-regulationされることが分かっている。また近年のゲノムレベルのmicroRNAプロジェクトによりmicroRNAのひとつであるmiR398がCSD1、CSD2を標的としていることが推測された。そこで今回の実験において我々はmiR398が銅欠乏条件下において特異的に発現し、CSD1CSD2 mRNAを直接分解することを証明した。また銅欠乏時にはCSD1、CSD2の代わりとしてFeSODが特異的に発現し活性酸素消去機能を担っている。一方PCは銅欠乏時にもタンパク質の蓄積が観察された。これらの結果から、銅欠乏条件下では銅はmiR398の制御によりPCに優先的に渡される、すなわち銅不足の環境において植物は光合成を最優先に行うことが示唆された。
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© 2007 日本植物生理学会
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