日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ゼニゴケ懸濁培養細胞におけるショ糖の乾燥耐性増大効果
*畑中 理恵菅原 康剛
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p. 366

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抄録
これまでに、ゼニゴケ(Marchantia polymorpha L.)の懸濁培養細胞を高濃度のショ糖を含む培地で前培養すると乾燥耐性が増大することを明らかにした。浸透圧調整物質としてマンニトールを前培養培地に用いた場合、部分的に細胞の乾燥耐性が増大することも明らかにしている。本実験では、細胞内外の糖の乾燥耐性増大効果について検討した。シリカゲル上で細胞を24時間乾燥させると含水量が0.1gH2O/gDW以下まで低下した。このような細胞の生存率を再培養法によって調べると、前培養なしでは0%だが、0.5Mショ糖あるいは0.5Mマンニトールを含む培地で前培養すると、それぞれほぼ100%あるいは約20%であった。細胞のショ糖含量をHPLCで測定したところ、0.5Mショ糖あるいは0.5Mマンニトールを含む培地で前培養した場合、細胞内に蓄積したショ糖の量は前培養しないときより4倍以上あるいは約3.5倍増加した。これは浸透圧ストレス下で基本培地中のショ糖を細胞が取り込んだためと考えられる。0.5Mマンニトールを含む培地で前培養した細胞を0.5Mショ糖を含む培地で洗浄してから乾燥処理を行うと、乾燥後の細胞の生存率が著しく上昇し、乾燥後の細胞の生存率はほぼ100%になった。このことから、ゼニゴケ懸濁培養細胞において、細胞内外に存在するショ糖が乾燥耐性増大に効果的に働くことがわかった。
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© 2007 日本植物生理学会
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