日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネV1タンパク質は分化初期葉の葉緑体リボゾームRNAの成熟化に関与する
*楠見 健介吉村 淳射場 厚
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p. 401

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抄録
virescent-1 (v1) はイネ低温感受性葉緑体形成不全突然変異株である。これまでの解析から、V1遺伝子は葉の発生分化初期に特異的に機能していると考えられる。原因遺伝子の構造解析から、V1遺伝子は葉緑体局在型の32kDaタンパク質をコードしていることがわかった。V1タンパク質はP4と呼ばれる、葉の初期発生ステージの前期において多量に蓄積するが、P4ステージ後期にかけて急速に減少し、葉が抽出するP5以降のステージではほとんど蓄積しない。V1タンパク質の蓄積は低温(20℃)で誘導され、高温(30℃)で抑制される。また、低温生育下のv1変異株においてはP4ステージにおける葉緑体rRNAの成熟化および、葉緑体の転写・翻訳装置の発現が不可逆的に阻害され、その後の葉緑体分化プロセスがストップする。これらの結果は、P4ステージ初期に特異的に発現し、葉緑体の転写翻訳能を活性化するメカニズムが存在し、その制御にV1タンパク質が関与していることを示す。
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© 2007 日本植物生理学会
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