抄録
植物の液胞は巨大な酸性オルガネラであり、様々な物質を貯蔵することで外環境としての役割をもつ。すなわち、毒性のあるNa+や重金属イオンを細胞質から隔離するとともに、H+やK+、Ca2+の流出入により細胞質のpH調節やシグナル伝達など動的な現象にも関わる。さらに、細胞空間を充填する液胞のサイズを変えることで、細胞の伸長成長や気孔の開閉のような細胞運動にも関わっている。こうした液胞機能は膜輸送体などの液胞膜蛋白質とそれらの複合体、相互作用ネットワークにより支えられている。本研究では複合体で機能する膜蛋白質の網羅的な探索を目指した。
シロイヌナズナ培養細胞の液胞膜画分を界面活性剤で可溶化した後、blue native-PAGE/SDS-PAGEの二次元電気泳動で分離した。その結果、複数ポリペプチドで構成される複合体の候補約20個、ホモ多量体を形成するポリペプチドの候補約20個を検出した。また、シロイヌナズナの主要な液胞膜輸送体のblue native-PAGE上での分子量を、ペプチド抗体(約40種)を用いた免疫ブロッティングで検討した。さらに、可溶化膜画分を同じ抗体ライブラリを用いた免疫沈降に供し、共沈降する蛋白質の検索を行った。これらの方法で検出された複合体構成蛋白質についてMALDI-TOF-TOF MSを用いたシーケンスタグ法により同定を進めているのでその結果と併せて報告したい。