日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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N因子の下流特異的に制御される情報伝達因子の解析
*植田 浩一佐野 浩
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p. 502

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抄録
環境ストレスの中でも病害ストレスは、特に深刻な問題である。植物は病害に対し、細胞死を起こす積極的な抵抗性を示す。この反応の事を過敏感反応(Hypersensitive Response : HR)と呼ぶ。タバコのタバコモザイクウィルス(TMV)に対するHRによる抵抗性は、タバコのN因子に依存している。N因子がTMVのAvrである、RNA複製酵素中のヘリカーゼドメイン(p50)を認識する事でHRを起こす。本研究はN因子がp50を認識した後の情報伝達機構を明らかにする事を目的とした。
N因子の下流で応答する遺伝子はこれまでにいくつか報告されているが、感染実験ではTMVのp50以外の因子の影響を無視する事が出来なかった。そこで、p50を誘導的に発現する事でN因子から始まるHRを同調して起こす事の出来る実験系を構築した。この構築した実験系を用いて、マイクロアレイ解析を行った。その結果、発現が上昇、減少する遺伝子を多数同定した。この実験系において発現の上昇した遺伝子をN因子の下流特異的な遺伝子、発現の減少した遺伝子をN因子の下流で誘導されず一般的な抵抗性に関与する遺伝子に分類した。
また、遺伝子発現を伴わない情報伝達を解析するために、N因子と相互作用する因子をタバコのcDNAライブラリーから単離同定した。同定した因子の機能も併せて報告する。
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© 2007 日本植物生理学会
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