日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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傷害初期応答時のWIZZを介したシグナル伝達経路
*依田 寛中原 直子石橋 佳奈佐野 浩
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p. 503

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抄録
傷害初期(~30分)に一過的に発現誘導されるWIZZは、DNA結合能はあるが、転写活性化能がないWRKY型転写因子をコードしている。これまでの解析から、WIZZのシス配列は-155~-97の領域にあることが分かっていた。この領域をbaitとし、yeast one-hybrid法を用いてトランス因子の同定を試みた結果、EREBP/AP2 DNA結合ドメインを持つ転写因子が単離された。単離された因子はDREB subfamilyに属し、DRE 配列(GCCGNC)に結合する。実際、-155~-97の領域にはDRE配列(GCCGAC)が存在していた。ゲルシフト解析からもこのDRE配列がWIZZのシス配列であることが示された。また、野生型と過剰発現株のマイクロアレイ解析から、エチレン合成の最終段階を担うACC酸化酵素遺伝子が標的遺伝子の候補として同定されていた。ACC酸化酵素遺伝子は過剰発現株で発現が抑制されていた。今回、ACC酸化酵素遺伝子のプロモーターを単離したところ、プロモーター上にはWIZZが結合するW-box配列が複数存在していた。また、in vivoの一過的な転写活性の解析から、WIZZが ACC酸化酵素遺伝子の発現を抑制することが明らかになった。WIZZは転写抑制因子として作用していることが示された。現在、過剰発現株と発現抑制株での傷害後のエチレン含量を測定している。
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© 2007 日本植物生理学会
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