日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナにおける光誘導性、時計関連遺伝子PRR9のプロモーター解析とタンパク質解析:PRR9タンパク質の存在量も概日変動し、暗条件で速やかに分解される
*伊藤 照悟中道 範人木羽 隆敏松鹿 昭則藤森 徹山篠 貴史水野 猛
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p. 537

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抄録

最近、シロイヌナズナの時計分子機構に関して多くの知見が蓄積しつつある。特に、我々が見いだした時計関連ファミリー因子(TOC1を含む5種類のPRR)はそれぞれが協調的に時計機構に重要な役割を果たしていることが示唆されてきた。中でもPRR9は概日時計機構からの転写制御を受けるだけでなく、フィトクロムシグナル情報伝達を介した迅速な光誘導も受けることが特徴的である。今回我々は、はじめにPRR9の特徴的な転写レベルでの制御機構を解析するため、PRR9の5'上流領域をLUC(luciferase)レポーターを用いて詳細に解析した。これらの解析から、PRR9プロモーター上流に少なくとも二つの別々の調節シス領域、(1)光シグナル応答配列と(2)概日リズム形成に必要な配列を同定した。しかしながらこれらの解析から得られた転写レベルの調節が本当にタンパク質量に実際に反映されているかどうかは疑問である。これらの問題にアプローチするため、次に、エピトープタグを付けたPRR9タンパク質を発現する形質転換植物体を確立しタンパク質量を検出した。実際にPRR9のタンパク質量は、mRNA量を反映して概日変動していた。さらにPRR9タンパク質は明条件で蓄積し、暗条件で減少していた。この変動にはユビキン-プロテアソーム系による分解機構が関与していることが示唆された。

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© 2007 日本植物生理学会
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