日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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植物免疫を制御するシロイヌナズナCAD1遺伝子の機能解析-CAD1はサリチル酸経路を含む複数の免疫経路を負に制御する-
*筒井 友和浅田 裕山本 雅子池田 亮山口 淳二
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p. 596

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抄録
高等植物は、病原体の感染・増殖を抑制するために、最終的には細胞死を誘導する。
我々は、植物免疫機構の解明を目的として病原体感染時にみられるような細胞死を示す、cad1constitutively activated cell death 1)変異体を単離し、その機能解析を進めている。cad1変異体は、病原体に対する抵抗性を示すとともに、内生サリチル酸量の亢進が観察される。これらの結果から、CAD1は、サリチル酸合成を抑制することにより、免疫機構を負に制御していると考えられた。
本研究では、サリチル酸依存的な抵抗性経路に着目し、CAD1の植物免疫における負の制御機構の実体解明を目的とした。サリチル酸合成酵素が欠損したsid2変異体とcad1変異体との二重変異体を作製した。その結果、この二重変異体ではcad1変異体においてみられる細胞死形質が部分的に抑制されるものの、病原体に対してはcad1変異体と同程度の抵抗性を示した。従って、CAD1は、サリチル酸合成の抑制因子であり、同時にサリチル酸経路に依存しない免疫経路も抑制していることが示唆された。そこで、sid2 cad1二重変異体に変異原処理を施し,野生型への復帰変異体の単離を行った。その結果,細胞死形質が抑制され、病原体に感受性を示す復帰変異体can1sid2 cad1 double mutant non-resistance 1)を単離した。詳細な実験より、CAN1はCAD1制御下の新たな植物免疫機構の正の制御因子であることが予測された。
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© 2007 日本植物生理学会
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