日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シクラメンの病原ストレス応答とポリアミン
*藤原 伸介徐 相規村野 宏達
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p. 598

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抄録
私達はこれまでに窒素過剰条件下で栽培されたシクラメンがフザリウム萎凋病に罹病しやすいことを報告し、その原因がアンモニアの過剰やストレス条件下で地下部に生成するアミノ酸類、中でもアルギニンやアミドのアスパラギン、グルタミンが地下部に感染したフザリウム菌の増殖を刺激するためではないかと推察した。今回は、種々の環境ストレスの耐性機構に関わり、病原ストレスに対する応答成分の一つとしても知られるポリアミンについて、フザリウム萎凋病の発症との関係を解析し、地下部へのフザリウム萎凋病菌の感染の指標としての可能性を検討した。
シクラメンにフザリウム菌を接種すると、地上部に萎凋病症状が現れない9日目においても、葉中プトレシン、スペルミジン含有量の上昇が認められた。シクラメンを萎凋病発症歴のある施設内で長期間栽培し、自然発生した萎凋病株について塊茎部の汚染度やポリアミン含有量について調べたところ、塊茎部の汚染がひどい株ほどポリアミン含有量も高いことが分かった。一方、葉中ポリアミン含有量は、塊茎中のポリアミン含有量と正の相関を示すこと、さらに、地上部に萎凋病の症状がまだ現れていなくても、塊茎部の一部に菌の汚染が認められた株は、汚染が認められない健全株と葉中ポリアミン組成が明らかに異なることから、葉中ポリアミンの分析は塊茎部へのフザリウム菌感染の有無を知る上で有効な指標になるものと考えられた。
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© 2007 日本植物生理学会
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