抄録
デスクワークや工程内の製品組み立てなど,日々の作業のあらゆる場面で頭を前に倒した姿勢(うつむき姿勢)になることがある。このとき約5 kg の重量の頭を支える首には負荷が集中する。工程の作業現場では頭部の安全確保のためにヘルメットを着用し,溶接作業のときにはヘルメットに溶接面を追加で取り付けて使用することもあり,重量増分が大きい場合では1 kg 程度になる。本研究では,ヘルメットに組み付けることで装着者の作業を妨げることなく首にかかる負荷を軽減する装具を試作し,装着者の後頚筋の筋電による定量的評価と使用感のアンケートによる定性的評価を行った。それぞれの結果から,うつむき姿勢で首にかかる負荷を軽減できることを確認し,一方で,ヘルメットが拘束されることによる不快感を今後の設計開発における課題として見出した。