抄録
プラスチド型リン酸輸送体には、基質特異性に応じてトリオースリン酸/リン酸輸送体(TPT)、ホスホエノールピルビン酸/リン酸輸送体(PPT)、グルコース-6-リン酸/リン酸輸送体(GPT)、ペントースリン酸/リン酸輸送体の4つのサブファミリーが存在する。これらのうち、通性CAM植物アイスプラントからは3つのサブファミリーに属する4つの輸送体をコードするcDNA(McTPT1、McPPT1、McGPT1、McGPT2)が見いだされている。これまでに、アイスプラントのCAM化の過程でMcTPT1の葉での転写産物量はやや減少するのに対し、他の3者では著しく上昇すること、さらに、McTPT1とMcGPT2の発現は光合成組織に限られるのに対し、McPPT1とMcGPT1は根でも葉でも発現していることが分かっている。
我々はこれらの遺伝子のプロモーター構造とイントロン/エクソン構造を明らかにするため、ゲノムDNAのクローン化を行っている。これまでのところ、McGPT1とMcGPT2の転写領域の塩基配列が明らかになっており、これらの遺伝子はアラビドプシス及びイネのGPT遺伝子と同じ位置に、4つのイントロンを持つことが分かった。さらに、McTPT1とMcGPT2の遺伝子上流域(それぞれ約0.9 kbと約2.6 kb)が単離できており、現在その塩基配列を解析中である。それらの構造を比較した結果も報告する。