日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

緑藻クラミドモナスのCO2欠乏誘導性遺伝子Lci1はCO2輸送に関与する
*大西 紀和小日向 務福澤 秀哉
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 635

詳細
抄録
緑藻クラミドモナスは、CO2欠乏条件下で無機炭素濃縮機構(carbon-concentrating mechanism; CCM)を駆動してCO2を細胞内に積極的に取り込むことにより、炭酸同化を効率良く行っている。しかし、光依存的なCO2輸送体の実体は不明のままである。Myb転写因子の一つであるLCR1を欠損したlcr1株は、低CO2条件でLci1Lci6Cah1の発現が誘導されず1)、CO2輸送活性も野生株の60~70%に低下していた。そこで本研究では、CO2欠乏誘導性の膜タンパク質をコードする遺伝子Lci1に注目し、その機能を解析した。Lci1のコード領域にNia1遺伝子の上流領域を連結し、CO2条件に関わらず培地中の窒素源をアンモニウム塩から硝酸塩に交換した時にのみLci1の発現を誘導できる形質転換株を、lcr1株を宿主に用いて作出した。5% CO2条件下でlcr1株のCO2輸送活性と無機炭素親和性は窒素源の影響をほとんど受けないが、形質転換株では硝酸塩存在下でLci1の発現を誘導すると、CO2輸送活性と無機炭素親和性が上昇した。これは、LCI1がCO2輸送系で働くことによってCCMに寄与していることを示している。
1) Yoshioka et al. Plant Cell (2004)
著者関連情報
© 2007 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top