日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シアノバクテリアSynechococcus elongates PCC 7942におけるDnaK3の機能解析
*小林 利彰渡辺 智片野 葉子荷村(松根) かおり吉川 博文
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p. 641

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抄録
シアノバクテリアSynechococcus elongates PCC 7942における3つのdnaKホモログ(dnaK1, dnaK2, dnaK3)の中で、DnaK2と共に生育に必須であるDnaK3の特異的機能を探る目的で変異解析を行った。基質結合ドメインの温度感受性変異体を取得し、さらにその抑圧変異をリボソームのL24タンパク質に同定した。DnaK3はチラコイド膜に比較的多く局在するという特徴があり*、シアノバクテリアではチラコイド膜上にポリソームが存在し光化学系のタンパク質等の翻訳が行われていることが知られていることから、DnaK3とポリソームとの相互作用を調べた。細胞を膜画分、膜結合型ポリソーム画分、細胞質画分、細胞質のポリソーム画分の4つに分画し、各DnaKタンパク質の局在を解析したところ、制限温度では温度感受性変異株でのみDnaK3が膜結合型ポリソームより減少した。また、抑圧変異株では野生株と変わらない局在を示した。したがって、変異型DnaK3がポリソームと相互作用しなくなることが温度感受性の要因であると考えられ、光化学系タンパク質のターゲティングに影響を与えている可能性や局在の機構等について考察する。

*Nimura, K., Yoshikawa, H., and Takahashi, H. 1996. Biochem. Biophys. Res. Commun.
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© 2007 日本植物生理学会
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