抄録
シアノバクテリアSynechococcus elongatus PCC 7942株には3つのdnaKと、4つのdnaJホモログが存在する。中でも必須遺伝子であるdnaJ3はdnaK3とオペロンを形成し、またDnaJ3タンパク質はDnaK3と共にチラコイド膜上に比較的多く局在することから、特異的な機能を持つことが示唆されている。我々はDnaJ3の機能を探ることを目的として変異解析を行った。DnaJ3のC末端領域に変異を導入した結果、43℃で温度感受性を示す、DnaJ3F193L株(t598c)を取得した。さらにF193L株の温度感受性を抑圧する株を複数取得し、マッピングを行った結果、syfpcc7942_2440 (pnp)及びsyfpcc7942_1999 (rbp2)に抑圧変異を同定した。これらは共にRNAの分解制御に関与するタンパク質であることから、(野生株、F193L株、抑圧変異株の)dnaJ3 mRNAの安定性について比較したところ、F193L株では野生株、抑圧変異株に比べより安定であった。この結果からdnaJ3 mRNAの安定化が温度感受性の原因であると考えられた。そのメカニズムについて考察する。