抄録
最近、シロイヌナズナの時計分子機構に関して多くの知見が蓄積してきており、我々が見いだした時計関連ファミリー因子(TOC1を含む5種類のPRR)の重要性も広く認められつつある。さらに他にも多くの時計関連因子が同定されてきてはいるが、入力系・中心振動体・出力系を含む時計の全体像に関しては未だ多くの点が不明である。そのため時計機構においては、まだ他にこれと関連して働く多くの未同定の転写因子が存在すると推定される。そこで我々は公開されているトランスクリプトームデータを参考にして、その発現が概日リズムを刻む転写遺伝子群をリストアップした。そしてそれらの内、特徴的なBボックス型Znフィンガー転写因子ファミリーに着目して解析を行った。このBボックス型Znフィンガー転写因子ファミリーの代表としては有名な光周性花成制御因子COが挙げられる。そしてCOファミリーには20種類近くの相同性の高いBボックス型Znフィンガー転写因子が含まれ、その幾つかは概日リズムを刻み、また花成関連の働きをしていることが示唆されている。今回は、COファミリー以外のBボックス型Znフィンガー転写因子の網羅的解析を行うことで、特徴的な概日リズムを刻む幾つかの因子を同定した。これらの新規因子に関して、欠損変異体や恒常的発現形質転換体を作成して行った時計関連機能解析の結果も合わせて報告する。