日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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セイヨウハコヤナギにおける概日時計関連因子の発現解析、及び分子系統学的解析
*高田 直樹楠城 時彦篠原 健司上村 松生
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p. 689

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抄録
樹木は厳冬期を生き抜くための準備として、日長、温度変化に応答し段階的に休眠誘導・低温馴化を行う。休眠誘導・低温馴化の初期過程は、夏から秋への日長短縮を感知することにより生じ、樹木は成長期から自発的な休眠期へと移行する。このような、樹木の日長感知機構には内的な概日時計が関与すると推察される。近年、シロイヌナズナを用いた研究により、植物の概日時計機構が明らかにされつつある。植物が概日リズムを刻む機構として、Myb型転写因子であるLHY/CCA1、及び擬似レスポンスレギュレターであるTOC1/PRR1がフィードバックループにより転写制御され、概日時計の中心振動体を形成していると考えられている。このように草本植物でモデル化された中心振動体が、木本植物においても保存されているかどうかはこれまでほとんど報告されていない。そこで、本研究では木本植物のモデルであるポプラ属のセイヨウハコヤナギからLHY/CCA1、及びTOC1/PRR1のホモログを同定し、発現解析を行った。その結果、セイヨウハコヤナギから同定したPnLHY1, 2は朝方に、PnTOC1は夕方に発現のピークを示し、互いに発現を調節するフィードバックループを形成していることが示唆された。また、ゲノム構造解析、及び分子系統学的解析から、PnLHY1, 2は木本植物が草本植物から分岐した後に遺伝子重複したパラログであることが示唆された。
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© 2007 日本植物生理学会
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