日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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活性酸素はジベレリン合成遺伝子の発現調節を介して発芽を誘導する
*保浦 徳昇潮見 直織美岩淵 雅樹小川 健一
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p. 699

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抄録
種子発芽時にH{SUB}2{/SUB}O{SUB}2{/SUB}やO{SUB}2{/SUB}{SUP}-{/SUP}などの活性酸素が必要であることが示されている。しかし、活性酸素がどの様なメカニズムで発芽を促進するのかは明確になっていない。本報では、吸水処理によって生成された活性酸素はジベレリン(GA)合成遺伝子の発現を増加させる事により種子発芽を促進する事を報告する。吸水処理後O{SUB}2{/SUB}{SUP}-{/SUP}が生成され、この時期にH{SUB}2{/SUB}O{SUB}2{/SUB}処理によって誘導される遺伝子にGA合成遺伝子が含まれている事がマイクロアレイ解析によって明らかとなった。H{SUB}2{/SUB}O{SUB}2{/SUB}処理によるGA合成遺伝子の誘導が起こる時期は吸水処理直後に顕著であった。NADPH oxidsaseの阻害剤DPIで処理すると発芽は阻害された。O{SUB}2{/SUB}{SUP}-{/SUP}生成の抑制は限定的であるが、その抑制と同程度のGA合成遺伝子発現の減少が認められた。予想外であったが、NADPH oxidaseの変異体ではO{SUB}2{/SUB}{SUP}-{/SUP}の生成量およびGA合成経路遺伝子発現が増加し、発芽も促進された。以上の事から、種子発芽時に生成されるO{SUB}2{/SUB}{SUP}-{/SUP}あるいはその不均化反応産物H{SUB}2{/SUB}O{SUB}2{/SUB}は吸水処理後のGA合成遺伝子の発現を早い時期に促進するシグナルとして働いていると考えられた。また、NADPHオキシダーゼが吸水処理後のO{SUB}2{/SUB}{SUP}-{/SUP}生成に関わる因子である事が示唆された。
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© 2007 日本植物生理学会
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