日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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SHV3とそのパラログは細胞伸長調節に必要なGPIアンカータンパク質である
*林 晋平冨永 るみ黒森 崇和田 拓治篠崎 一雄平山 隆志
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p. 711

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抄録
我々は、根毛が先端成長初期で破裂し伸長停止する劣性の変異株を理研のシロイヌナズナDsトランスポゾン挿入変異ラインより分離した。この変異株15-1096-1はGlycosylphosphatidylinositol (GPI) アンカータンパク質をコードする遺伝子にDsトランスポゾンが挿入されており、shv3 (Parler et al., 2000; Jones et al., 2006) のアリルであることがわかった。SHV3とGFPの融合タンパク質はGPIアンカーの性質と一致して細胞表層に局在した。シロイヌナズナにはSHV3と類似の構造をもつ遺伝子が6つ存在し、これらの発現部位には重複と分散がみられた。我々はこれらの単一および多重変異体の解析を試みた。SHV3ともう1つの遺伝子の二重変異体ではリグニンの異常な蓄積や黄化植物胚軸の短小化など、異常な細胞壁をもつ細胞伸長変異体でみられる表現型が観察された。また、特殊化された細胞壁をもつことで知られる孔辺細胞の形状にも変異の影響がみられた。さらに、フーリエ変換赤外分光光度計を用いた分析などから二重変異体が野生型とは異なる細胞壁成分をもつことが示された。以上の結果はSHV3およびそのパラログが細胞伸長の調節に必要な細胞壁構築に関わる新しい因子であることを示唆している。
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© 2007 日本植物生理学会
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