日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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リグニン生合成への関与が示唆される3種のシロイヌナズナペルオキシダーゼ遺伝子の発現解析
*徳永 順士佐藤 康
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p. 774

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抄録
私たちはこれまでヒャクニチソウ管状要素分化実験系を用い分化過程の管状要素特異的に発現する新規ペルオキシダーゼ遺伝子ZPO-Cを単離し、ZPO-Cが管状要素のリグニン化に密接に関連している事を示した。また、シロイヌナズナでもZPO-Cと高い相同性を示すホモログが見つかり、リグニン化への関与が示唆されているが、十分な解析はなされていない。
本研究ではシロイヌナズナのZPO-CホモログであるAtPrx66、またAtPrx66に最も相同性が高いAtPrx47及びAtPrx64について、リグニン生成における役割を明らかにするためシロイヌナズナ植物体での解析を試みた。各ペルオキシダーゼのプロモーター領域とレポーター遺伝子GUSを結合したコンストラクトを作成・導入することで各ペルオキシダーゼの発現部位を解析した。芽生えを用いた組織化学的なGUS活性の解析の結果、いずれの形質転換系統でも根で強い発現を示したが、AtPrx66は分化過程の導管でのみ、AtPrx47は導管及び導管周辺の柔組織、AtPrx64AtPrx47で活性が見られた領域を取り囲む領域で発現が見られ、これらの発現は同心円的に配置されていることが分かった。またAtPrx66AtPrx47は葉の維管束でも発現が見られた。これらの結果に加え、発達した植物体の各器官におけるGUS活性解析の結果についても報告し、これらのペルオキシダーゼの機能について考察する。
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© 2007 日本植物生理学会
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