日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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細胞外カタラーゼ遺伝子発現によるリグニン生成への影響
*佐藤 大樹佐藤 康
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p. 775

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抄録
リグニンはモノリグノールが複雑に重合し形成される高分子物質である。リグニンは植物体内で維管束組織の二次細胞壁に蓄積し、細胞壁の強化をする。またリグニンは病傷害によっても蓄積し、生体防御に関与する。モノリグノールの重合は、細胞外において主にペルオキシターゼによって触媒されている。モノリグノールを重合する際に、ペルオキシターゼは過酸化水素を基質として利用している。
本研究では過酸化水素の量を低下させることで、モノリグノールの重合を抑え、リグニン合成を抑制した植物体を作製することを目的にしている。過酸化水素の量を低下させるため方法として、2種類の細胞外に輸送されるカタラーゼを用いた。1つはBotrytis cinereaのもつ細胞外カタラーゼBcCAT2を用い、もう1つは本来ペルオキシソームに局在するシロイヌナズナのカタラーゼAtCAT2にヒャクニチソウペルオキシターゼZPO-Cの細胞外輸送シグナルを付加させた。これら2種類のカタラーゼ遺伝子のC末端に解析用としてGFPもしくは6×Hisを付加させた。アグロバクテリア法にてタバコ培養細胞BY-2とシロイヌナズナに導入し、形質転換体を得た。現在、BY-2を用いた酵素学的解析やシロイヌナズナを用いた植物体の成長やリグニン生成への影響の解析を進めている。
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© 2007 日本植物生理学会
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