日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

植物においてsiRNAが誘導するDNAとクロマチンの修飾
*岡野 陽介三木 大介山田 久和島本 功
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 797

詳細
抄録
近年RNAiで知られるsiRNAが、DNAメチル化やヒストン修飾を誘導しクロマチンの不活化を引き起こすことが示唆されている。また、シロイヌナズナやイネにおいて内在性siRNAのクローニングが行なわれ、内在性siRNAの種類の豊富さが浮き彫りとなった。そのため、siRNAのシグナルがゲノムの幅広い領域に届き得ることが考えられるが、全てのsiRNAがそれぞれターゲットとなるクロマチンに対して機能するのかは分からない。そこで本研究では、任意のゲノム配列と相同性を持つsiRNAをイネに高蓄積させ、そのsiRNAがクロマチンの不活化を引き起こすことができるのかどうかを解析した。任意のゲノム配列にはプロモーター配列を選択した。これまでに、8つの遺伝子をそれぞれターゲットにした形質転換イネを作出し、ターゲットプロモーター領域のDNAメチル化とヒストン修飾の変動を解析した。また、クロマチンの不活化の指標として、ターゲット遺伝子の発現抑制の程度を解析した。それらの結果から、下記の3つを示唆および考察したので、本年会で議論したい。1) siRNAが引き起こすクロマチンの不活化には、DNAメチル化およびヒストン修飾が重要である。2) siRNAはどのようなゲノムに対してもヒストン修飾を誘導するわけではない。3) siRNAはどのようなゲノムに対してもクロマチンの不活化を引き起こすわけではない。その要因のひとつに、ヒストン修飾を誘導できるかどうかという点が考えられる。
著者関連情報
© 2007 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top