抄録
植物は乾燥ストレスに曝されるとアブシジン酸(ABA)を合成する。ABAに応答して気孔は光があっても開かなくなり、開いていた気孔は閉鎖し、蒸散による水分損失を抑制する。ABA気孔シグナル伝達経路については従来多くの研究がなされてきたが、未だその全貌は明らかではない。ABA気孔シグナル伝達経路を明らかにすることを目的に、プロテオーム解析を行なった。
ABA処理したあるいは無処理のシロイヌナズナ表皮より、タンパク質を抽出。二次元電気泳動でタンパク質を分離後、CBBおよびPro-Q Diamond(リンタンパク質特異的蛍光染色剤)で染色した。各々のスポットはリジル・エンドペプチダ-ゼあるいはトリプシンで消化しMALDI-TOF MSにより、タンパク質を同定した。120以上のタンパク質、45以上のリンタンパク質が検出され、数種のタンパク質がABA処理により増加することが分かった。