抄録
当研究室では、耐塩性因子の解明を目的に塩生植物アイスプラントMesembryanthemum crystallinumに注目して研究を行っている。アイスプラントは塩性土壌にて生育することが知られ、耐塩性モデル植物と考えられている。近年の研究によりその耐塩性機構は徐々に明らかになってきているが、ストレス応答シグナル伝達に関する因子はほとんど解明されていない。そこで、当研究室ではシグナル伝達のネガティブレギュレーターとして知られるProtein Phosphatase type 2C(PP2C)に注目して遺伝子の探索を行った。その結果、11のアイスプラントPP2CをクローニングしMPC1~11と命名した。更に、塩ストレスに応答してMPC2・MPC8の発現量が上昇すること、MPC6は減少することが明らかにされた。その結果を受けて、当該MPC遺伝子の詳細な機能を解明することを目的として研究を続けている。
現在、アイスプラントの形質転換法は確立されていないため、シロイヌナズナにおいて強制発現を行い、その形質転換体の表現型を調べることでMPC2,MPC6,MPC8遺伝子の機能解析を行うことをと試みた。その結果、得られた各MPC遺伝子の形質転換体は、野生型と肉眼で確認できる表現型の違いは見られなかった。現在は、各形質転換体の塩ストレス・浸透圧ストレス・低温ストレス・ホルモン感受性を中心とした形質の解析を行っており、その結果について発表を行う。