抄録
マメ科植物は、『根粒形成のオートレギュレーション』と呼ばれる、根とシュートの間の遠距離シグナル伝達によって、過剰な根粒形成を防いでいる。オートレギュレーションによる根粒形成の抑制が破綻した根粒過剰着生変異体の解析が進められているが、遺伝子同定に至っているのは、マメ科モデル植物ミヤコグサのHAR1とダイズ等におけるそのオルソログのみであり、その変異体は、接木実験によりシュート制御であることが判明している。根において機能する因子は、エンドウ等で変異体の報告はあるものの、その分子メカニズムは不明である。根で機能する遺伝子に変異を持つ新奇根粒過剰着生変異体の発見は、オートレギュレーションシグナルの発信と受容の制御機構を知る上でも必須である。
オートレギュレーションの分子レベルでの理解を目指し、ミヤコグサ(Miyakojima MG-20)からC6+イオンビーム照射により新奇根粒過剰着生変異体を単離した。その中から、接木実験によりミヤコグサでは初の根制御の変異体を2ライン(716-1、1836-1)見出すことに成功した。716-1、1836-1には、シュート制御の根粒過剰着生変異体har1やklavierのような矮化は起こらず生育は野生型並みだったが、側根数が少ない傾向が観察された。マッピングにより、716-1、1836-1は異なる遺伝子座の変異であることが示唆された。