日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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放射線照射によるトマト変異系統の整備と果実色変異体の解析
*今西 俊介野口 有里紗渡瀬 智子永田 雅靖
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p. 980

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抄録
果実の成熟は農業的に重要な特質であり,生長の中で強度に制御かつ高度にプログラムされている.果実成熟機構を明らかにすることは,農業利用だけでなく植物の生長の制御機構を理解する上でも有意義であると考えられる.ゲノム研究が始まったトマトは、果実生理研究における優れたモデルシステムだと考えられる。機能解析において変異体は非常に有用なツールである。我々は成熟の分子機構に関する知見を得ることを目的として、極矮性系統である'Micro-Tom'にガンマ線や重イオンビーム照射し、変異誘発集団の整備を行った。
ガンマ線300Gyを照射したM2世代2,500系統についてスクリーニングを行い、果実形質に異常が見られる個体を選抜した。M3世代の解析から,桃色の果実色を示す株(pink)および葉色が淡い株(pale leaf)について形質の遺伝を確認できた.pink系統は,M3世代において,開花時期,着色開始時期および着色期間については,野生型と変わらなかった.果実表面色について,赤みを表すa*値は,着色開始後常に野生型より低く、明度を表すL*値は,着色開始後常に野生型より高かった。pale leaf系統は、葉色だけでなく果実色においてもa*値が低く、L*値と黄みを表すb*値が高いという形質を示した。これらの系統についてカロテノイド類の蓄積パターンおよび関連生合成系酵素遺伝子の発現などについて報告する。
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© 2007 日本植物生理学会
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