日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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日本植物生理学会奨励賞 酸化ストレス応答としての植物細胞死の研究
*川合 真紀
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p. A002

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抄録
植物は種々の環境ストレスに適応して生存しており、ストレス条件下で発生する活性酸素種(ROS)は植物の環境適応やプログラム細胞死のシグナル物質として働くことが知られている。Bax Inhibitor-1(BI-1)は生物界に保存された細胞死制御因子であり、小胞体に局在して酸化ストレス誘導性細胞死に対して抑制活性を示す。BI-1の発現は種々のストレス(老化、傷害、病原菌感染)によって誘導されるが、イネにおける過敏感細胞死においては減少する。一方で、BI-1を過剰発現したシロイヌナズナ、及びKO植物は通常の生育を示すことから、本因子は発育過程に見られる細胞死現象には関与せず、ストレス応答時におきる酸化ストレス誘導性細胞死の制御に関与すると考えられた。BI-1の細胞死抑制機構を解明するため、BI-1と相互作用する因子の単離をおこなった結果、カルモジュリン(CaM)とチトクロムb5(Cb5)が単離された。CaMはBI-1のC末端領域に結合し、細胞死抑制活性に対して非常に密接な関与を示した。一方、Ctb5はさらに脂肪酸代謝酵素FAHと相互作用することが明らかとなった。すなわち BI-1はCb5を介してFAHと相互作用し、その活性を制御する可能性が示された。これらの結果は、植物の酸化ストレス誘導性細胞死制御へのスフィンゴ脂質の関与を示唆する。
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© 2007 日本植物生理学会
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