抄録
光合成生物は光酸化ストレスを常に受けており、通常のストレスと関連しながら影響を受けている。シアノバクテリアでも他の細菌と似た酸化ストレス応答システムをもつとともに独自の光合成調節機構をもっている。本発表では、ストレス応答性転写因子の観点から概観する。メチルビオローゲンや過酸化水素で応答する遺伝子のアレイ解析から、Slr1738(PrxR)–Sll1621(PrxA)、Sll0088(SufR)–Slr0074(SufB)、Slr1245–Sll1161などのレギュロンが明らかになった。このうち、Slr1738は鉄と亜鉛を結合する転写因子で鉄がレドクス応答していると考えられる。SufRは鉄硫黄クラスタを結合しており、レドクスに応答する。一方、LexAはDNA切断応答性プロテアーゼ型転写因子として有名であるが、Synechocystisでは別のしくみが考えられている。これら多くのストレス応答性転写因子はおもに酸化ストレス保護や傷害修復の誘導に関わっている。一方、大腸菌では傷害修復に関わるIscRのホモログはシアノバクテリアには広く分布するが、その機能は明らかではない。われわれはIscRホモログが光化学系1の遺伝子発現調節に関わっていることを明らかにした。これらの現状をふまえて、シアノバクテリアにおけるストレス応答の統一的理解について議論する。