抄録
二成分制御系は、ヒスチジンキナーゼ(Hik)とレスポンスレギュレータ(Rre)の2つの構成成分からなる情報伝達系である。ラン藻にはゲノムサイズに比較して、二成分制御系を構成する因子が多数存在することが明らかとなっている。
これまでのラン藻Synechocystis sp. PCC 6803の、Hikと Rreの網羅的な機能解析により、Hik33と名付けたHikが、低温、高浸透圧、高塩濃度、強光、酸化ストレス条件下で、異なる遺伝子群の発現を制御する大変興味深いセンサーであることが分かった。また、高浸透圧、高塩濃度条件では主にRre31がHik33の下流で機能し、その他の条件ではRre26が機能すると考えられた。これらの結果は、Hik33は受け取るシグナルにより、少なくとも2つのRreへシグナルを分配する極めて特殊なセンサー分子であることを示している。
さらに興味深いことには、Hik33は新奇なタンパク質(Ssl3451)と特異的に相互作用し、Ssl3451が試験管内でのHik33タンパク質の自己リン酸化活性を10倍以上活性化する能力を有していることである。Hikの自己リン酸化・リン酸基転位反応の活性調節をする因子はこれまで報告がなく、Ssl3451は初めて見つかったHikの調節因子である。これらのラン藻に見られる二成分制御系のユニークさを紹介し、その意義について考察する。