日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネにおけるサポニン生合成経路についての分子解析
*稲垣 善茂Osbourn Anne
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p. 0036

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抄録
植物が生産するサポニンは配糖化トリテルペンであり、抗がん作用や抗菌活性を持つものなど様々な誘導体が知られている。特にエンバクやトマト植物が生産する抗菌性サポニンはエンバク立枯病菌やトマト白星病菌の感染成否に深く関わっていることが知られている。またエンバクを除く単子葉類ではサポニンは生合成されていないと考えられている。そこで我々はイネに抗菌性サポニンの生産能を賦与することによる新規な耐病性の獲得を最終目的として, イネのサポニン生合成経路遺伝子群の同定とその分子解析を試みている。まずはイネの幼苗時のサポニン, トリテルペン様化合物およびその中間体についてLC/MS及びGC/MSによる化学分析を試みたがいずれも見いだされなかった。次いで我々はイネのサポニン生合成経路上流のステップであるOxidoSqualene Cyclase (OsOSC )遺伝子に注目し, エンバクでの知見を基にゲノムデータベース解析と遺伝子発現解析を試みた。その結果, 本遺伝子はイネゲノム中に11遺伝子存在し, そのうちの5遺伝子がそのゲノム構造から偽遺伝子である可能性を見い出した。さらに残りの6遺伝子のうち5遺伝子は幼苗において遺伝子発現が認められた。今後遺伝子発現が確認された5遺伝子についてはOSC酵素活性測定を試みたい。
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© 2008 日本植物生理学会
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