日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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枯草菌RuBisCO-like proteinと光合成RuBisCOに共通する構造と機能
*齋藤 洋太郎蘆田 弘樹Sekowska AgnieszkaDanchin Antoine横田 明穗
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p. 0052

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抄録
光合成の律速段階であるRuBisCOによるカルボキシラーゼ反応は、リブロース-1,5-二リン酸(RuBP)のエンジオール化を初発とする多段階反応である。アミノ酸配列において相同性を持つ枯草菌のRuBisCO-like protein(BsRLP)が触媒する2,3-ダイケト-5-メチルチオペンチル-1-リン酸(DK-MTP-1-P)エノラーゼ反応は、RuBPのエンジオール化と似ている。そこで両者の相関性を調べた。まずBsRLPの酵素学的諸性質を決定した。触媒にはRuBisCOと同様にMg2+を必要とし、活性は高CO2条件下で上昇した。部位特異的変異により、RuBPのエンジオール化必須残基で、かつBsRLPにおいても保存されているLys175、Lys201、Asp203、Glu204らのアミノ酸残基がBsRLPの活性にも必須であることを明らかにした。一方、DK-MTP-1-Pエノラーゼ活性を持つRLP特異的に保存されているLys123も活性に必須であることを明らかにした。興味深いことにBsRLPの活性が、RuBisCOの基質RuBPや生成物のホスホグリセリン酸、反応中間体アナログの2-カルボキシアラビニトール-1,5-二リン酸で特異的に阻害されることがわかった。このことはBsRLPがすでにカルボキシラーゼ反応を行う潜在的な能力を保持していたことを示唆しており、RuBisCOがBsRLPから進化してきたという我々の仮説を強く支持した。
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© 2008 日本植物生理学会
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