日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナの原核型緊縮応答因子RelA/SpoTホモログの生理機能解析
*水澤 一樹増田 真二成沢 隆邦戸澤 譲太田 啓之高宮 建一郎
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p. 0099

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抄録
原核生物において、RelA/SpoTはセカンドメッセンジャーppGppの合成または分解を栄養状態の変動に応じて行なう。ppGppは、多くの遺伝子の転写制御、および酵素活性の制御に関与する。ppGppを介した一連の制御機構は緊縮応答と呼ばれる。近年高等植物においてRelA/SpoTのホモログRSH(RelA SpoT Homologs)の存在が明らかにされ、それらは葉緑体で機能することが示唆されている。我々は高等植物の高次機能に緊縮応答がどのように関与するのかを明らかにすべく、シロイヌナズナの4つのRSH (RSH1, RSH2, RSH3, CRSH)の解析を進めている。
レポーター遺伝子を用いたプロモーター解析の結果、シロイヌナズナの4つのRSH遺伝子は、緑色組織および花で発現していることが分かった。またCRSHのノックダウンにより稔性が大きく低下した。CRSHのppGpp合成活性は、Ca2+で活性化されることが報告されており(Tozawa et al. 2007)、葉緑体内の緊縮応答は、ホルモンの前駆体量をCa2+依存的に制御することで、種子形成時に必須の役割を果たすと考えられた。ノザンブロット解析により、RSH2の発現は傷害などのストレスで誘導されることが分かった。以上のことから、ppGppを介した葉緑体内の緊縮応答が、植物の示すさまざまな高次機能に重要な役割を果たしていることが分かった。
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© 2008 日本植物生理学会
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