日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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葉緑体NAD(P)H dehydrogenase(NDH)の未同定サブユニットの探索
*高林 厚史石川 規子石田 智大林 武小保方 潤一遠藤 剛佐藤 文彦
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p. 0111

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抄録
高等植物葉緑体NDH(NAD(P)H dehydrogenase)はチラコイド膜に局在し、光化学系I循環的電子伝達経路で機能する複合体である。NDHの生理的機能としては、C3植物では高温・低温・乾燥等の環境ストレス条件下での光酸化ストレス回避に重要であること、C4植物ではCO2の濃縮機構を駆動するためのエネルギー供給に重要であることが知られている。一方、そのサブユニット組成に着目すると、NDHは呼吸鎖の複合体Iのホモログであり、11種の葉緑体ゲノムコードのサブユニットと3種以上の核ゲノムコードのサブユニットから構成される巨大な複合体である。しかし、変異株解析やプロテオーム解析が相次いで報告されている現在でも、その電子供与体の認識と酸化に関与するサブユニット群は未だ同定されていない。
そこで私たちは、まずバイオインフォマティクスの手法、すなわち、共発現解析と系統プロファイル法を用いてNDHサブユニットの候補を65タンパク質にまで絞り込んだ。次に、それらのT-DNA挿入変異株のNDH活性を測定することで、6つのNDH欠損株を単離し、NDF(NDH-Dependent cyclic electron Flow)変異株と名づけた。本発表では4つのNDFタンパク質(NDF1-4)についてその解析結果を紹介し、NDHの新規サブユニットであるかどうかについて議論する。
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© 2008 日本植物生理学会
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