抄録
細胞膜における水輸送を担うアクアポリンPIPのうち、PIP2サブファミリーは翻訳後修飾としてリン酸化が報告され、リン酸化がチャネルの開閉に関わると考えられている。本研究では、セイヨウナシPcPIP2;2においてリン酸化が予想される2つのセリン残基(S115, S280)をアミノ酸置換し、リン酸化状態(セリンをアスパラギン酸に置換)または脱リン酸化状態(セリンをアラニンに置換)をミミックした。これらの水輸送活性をアフリカツメガエルの卵母細胞を用いて測定したところ、S115またはS280の一方をアラニンに置換したものは野生型とほとんど同じ水輸送活性を示したが、S115とS280の両方をアラニンに置換した場合には水輸送活性が顕著に低下した。植物体内においてS280に相当するセリン残基のリン酸化について多数の報告があるが、S115に相当するセリン残基のリン酸化は確認されていない。このため植物体内ではS115はリン酸化されないか非常に低いリン酸化レベルで、S280のリン酸化状態により水輸送活性が調節されている可能性が考えられる。そこで我々はS280のリン酸化状態を特異的に認識する抗体を作製して、生体内でのPcPIP2;2のリン酸化状態の変化を調べたところ、PcPIP2;2がセイヨウナシ果実の日肥大に同調してリン酸化されることが明らかとなった。