抄録
空色西洋アサガオ(Ipomoea tricolor cv. Heavenly Blue)の花弁は、ツボミは赤紫色で開花すると青色になる。既に我々は、この変化がItNHX1による液胞pHの上昇によることを明らかにし1, 2)、さらに、開花過程で表層の有色細胞内のK+量が増大することを報告した(2007年会)。今回、開花におけるNHX1の役割を解明する目的で、晩秋に見られる青色花弁中に赤色のスポットやセクター部分が出現したキメラ花弁の解析を行った。
キメラ花弁の赤色、青色部分に含まれるアントシアニンに差異は無く、いずれもHBAであった。細胞内微小電極法で液胞pHを測定したところ、赤色細胞の液胞pHは6.9で青色細胞の7.7よりも有意に低かった。それぞれの色の花弁から有色プロトプラストを調製してキャピラリー電気泳動法によるイオン分析を行った。赤色細胞内のK+量は青色細胞内よりも有意に低く、Na+はいずれの色の細胞にも全く検出されなかった。一方、陰イオン(Cl-, PO43-, malate)量には有意差は認められなかった。現在、それぞれの色の細胞におけるItNHX1および、ItNHX1タンパク質の発現量を分析中である。青色に開花する正常な花での分析結果とあわせ、ItNHX1が細胞の色変化と伸長生長にどのように関わるかを考察する。
1) K. Yoshida et al. Nature, 373, 291 (1995). 2) K. Yoshida et al. Plant Cell Physiol. 46, 407 (2005).