日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナの浸透圧ストレス応答性カリウムトランスポーター遺伝子KUP6の機能解析
*有永 直子刑部 祐里子山田 晃嗣圓山 恭之進篠崎 一雄篠崎 和子
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p. 0162

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抄録
浸透圧ストレスを受けると、植物中では、恒常性維持やストレス耐性獲得に関わる種々の遺伝子群が特異的に機能する。また、ストレス時の物質輸送の変化はストレス耐性獲得のために重要であると考えられる。マイクロアレイ解析により、浸透圧ストレス下において発現が誘導されるシロイヌナズナの膜タンパク質遺伝子を網羅的に探索した結果、KUP/HAK/KTファミリーに属するカリウムトランスポーターKUP6遺伝子を同定した。環境ストレス条件下におけるKUP6の発現量の変動をリアルタイムPCR法で解析した結果、KUP6はマンニトールおよび乾燥処理によって発現が誘導された。KUP6プロモーターによりGUS遺伝子を発現させたシロイヌナズナ形質転換体のGUS活性は、根の根端および維管束に検出され、マンニトールおよび塩処理によって活性は上昇した。KUP6-GFP融合タンパク質はシロイヌナズナ形質転換体において細胞膜に局在した。T-DNA挿入変異体であるkup6-1は、通常の生育条件下で、野生型と比較して植物体が大きくなった。kup6-1の植物ホルモンへの応答を解析した結果、kup6-1の根の生育は野生型と比較して、アブシジン酸に対して非感受性を、オーキシンに対して高感受性である可能性が示された。土植えの植物体を用いて乾燥耐性試験を行った結果、kup6-1では野生型と比較して乾燥耐性能が低下した。これらの結果より、KUP6は植物体の乾燥耐性獲得のために重要な機能を果たしていると考えられた。
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© 2008 日本植物生理学会
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