日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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異形葉性に伴う葉の細胞数と細胞サイズの制御機構の解析
*宇佐見 健堀口 吾朗矢野 覚士塚谷 裕一
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p. 0182

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抄録
我々は、葉の細胞数が増加し、細胞サイズが低下するシロイヌナズナ突然変異体を4系統単離し、このうち3系統では、葉の幼若相から成熟相への転換が早まっていることを見いだした。多くの植物で、幼若相から成熟相、生殖相への転換に伴い葉の様々な形質が変化することが知られており、この現象は異形葉性(heteroblasty)と呼ばれている。シロイヌナズナ野生株では、上位葉ほど細胞数が多く、細胞サイズは小さい。従って、これら3系統の変異体では、異形葉性が早まり、葉が野生株における上位葉の形質を持ったために、細胞数の増加と細胞サイズの低下が見られたと考えられた(宇佐見ら、日本植物生理学会2007年度年会)。
異形葉性には、miR156を介したSPL転写因子の発現調節が重要である。そこで、本研究では葉の細胞数と細胞サイズの制御におけるSPL転写因子の機能について解析した。異形葉性が早まっていた前述の3系統のうち1系統ではSPL15遺伝子のmiR156認識配列に変異があり、mRNA蓄積量が上昇していた。また、miR156を構成的に発現させた植物では異形葉性が非常に遅れるが、この植物では上位葉における細胞数の増加と細胞サイズの低下がほとんど見られなかった。従って、SPL転写因子は葉の細胞数と細胞サイズの制御においても重要な働きを持っていることが示された。
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© 2008 日本植物生理学会
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