日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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フォトトロピン相互作用因子ARF1の青色光応答における役割
*鈴木 友美長谷 あきら
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p. 0206

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抄録
フォトトロピン(phot)は青色光を感知し、光屈性・葉緑体定位運動・気孔開口を誘引する光受容体である。photは、N末端側の発色団結合に関わるLOV領域とC末端側のSer/Thrキナーゼ領域からなる色素タンパク質である。これまでに単細胞緑藻類から高等植物においてphotの存在が報告され、phot情報伝達系に関与する因子が幾つか取得されているものの、詳細な分子機構に関しては未だ不明である。
以前我々は、シロイヌナズナphotと相互作用する因子として、小胞輸送に関与する低分子量G蛋白質ARF1を取得した。様々な解析により、photのkinase領域がGTP結合型ARF1と相互作用すること、phot2とARF1の細胞内局在が青色光依存的に変化することを明らかにした。ドミナント変異型ARF1の過剰発現植物体では、芽生えの伸長抑制と、光屈性の低下が観察できた。これらの結果から、青色光依存的なARF1の活性調節と、ARF1よる光屈性制御メカニズムが推測されるが、その詳細は明らかではない。
今回は、phot応答におけるARF1の関与をより明らかにするため、ARF1との相互作用能を失った変異phot2遺伝子の取得を試みた。その結果、数種類の変異phot2の取得に成功した。そこで、この変異phot2-GFP遺伝子をphot1phot2植物体に導入し、その生理応答とphot2-GFPの細胞内局在について詳しく解析した。今回はこれらの詳細な結果を報告するとともに、フォトトロピン応答におけるARF1の役割に関して考察する。
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© 2008 日本植物生理学会
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