日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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青色光受容体フォトトロピンによる柵状組織細胞の伸長制御
*小塚 俊明Sam-Geun Kong遠藤 求長谷 あきら
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p. 0207

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抄録
青色光受容体 phototropin は、モデル植物シロイヌナズナにおいて phot1 と phot2 との二つが知られている。PHOT1PHOT2 の機能欠損型二重変異体では、光屈性、葉緑体定位運動、気孔開口、葉の扁平化が正常に行われない。これまでに、我々は phototropin の関与する新たな形態形成制御を発見した。本葉の柵状組織細胞を本葉断面でみると、厚さ方向へ大きく伸長した細胞が表皮下に並んでいる。ところが、phot1phot2 二重変異体の柵状組織細胞では、野生体と比較して顕著に丸くなっており、phototropin は柵状組織細胞の厚さ方向への極性伸長を促進していることが示唆された。今回、PHOT1PHOT2 との、各単独変異体を用いて解析した結果、phot2 変異の影響の方が phot1 変異より大きいことが示された。さらに、phot1phot2 二重変異体背景において 35S-PHOT2-GFP を発現させると野生体と同様な柵状組織細胞が確認されたことから、主に phot2 の機能が重要であると考えられた。次に、phot2 シグナルの細胞自律性について調べるため、組織特異的発現プロモータに PHOT2-GFP をつないだコンストラクトを作製し、phot1phot2 二重変異体へ導入した形質転換体を作製した。これらの結果をふまえて、phototropin の機能とその生理作用について考察する。
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© 2008 日本植物生理学会
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