日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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SUPERMANホモログはヒロハノマンテマの雌花(♀)で雄蕊(♂)原基の発達を抑制する
風間 裕介藤原 誠山中 香西原 潔小泉 綾子阿部 知子*河野 重行
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p. 0240

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抄録
シロイヌナズナの突然変異体には雌雄異株植物の雄花(♂)や雌花(♀)のような表現型を示すものも多い。例えば、superman (sup)変異体では、第3 whorlが拡大し雄蕊(♂)の数が通常の6本から10本近くに増え、逆に雌蕊(♀)の発達が抑制されるのであたかも雄花(♂)のようになる。ナデシコ科の雌雄異株植物ヒロハノマンテマの雄花(♂)は発達した10本の雄蕊(♂)と抑制された細い棒状の雌蕊(♀)からなっていて、その表現型はシロイヌナズナsup変異体によく似ている。ヒロハノマンテマで、SUPとの同一性がアミノ酸レベルで38%、Zincフィンガードメインでは87%になるSUPホモログ(SlSUP)を同定した。SlSUPはシロイヌナズナのsup変異体の過剰雄蕊表現型を相補した。SlSUPはY染色体コードではなく、雌花で発現しているが、雄花では発現していなかった。in situ ハイブリダイゼーションでは、SlSUPは雌花のつぼみの雄蕊原基でシグナルが検出された。マンテマの雌花では、SlSUPが雄蕊原基の細胞増殖を抑制することで、雄蕊原基が伸長せずに雌花になると考えられる。SUPERMAN はマンテマの雌性決定遺伝子である可能性が高い。これを確かめるために黒穂菌感染によって雄(♂)化され擬似雄蕊(♂)を形成するようになった雌花(♀)でSlSUPの発現を調べたところ、雌花(♀)であれば本来抑制されるべき雄蕊原基でステージ8以降シグナルが検出されないことがわかった。
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© 2008 日本植物生理学会
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