日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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コケ植物蘚類ネジクチゴケの葉緑体 FeSOD 遺伝子の銅応答抑制機構の解析
*永江 美和中田 克高橋 陽介
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p. 0244

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抄録
Superoxide dismutase (SOD) は,活性酸素の一種スーパーオキシドを除去する酵素である。葉緑体には FeSOD と Cu/ZnSOD が存在する。我々は,コケ植物蘚類ネジクチゴケの葉緑体において銅濃度の上昇により FeSOD 活性が減少すること,逆に Cu/ZnSOD 活性が増加すること,その制御が転写レベルで行われていることを見出した。
本研究では FeSOD 遺伝子の銅による転写制御の解明を目的とした。コケ植物形質転換体を用いた詳細な FeSOD プロモーターの解析から,複数の GTACT 配列が銅応答抑制シス因子であることを明らかにした。GTAC を結合配列とする転写因子に SBP (SQUAMOSA promoter binding protein) family がある。そこで,ヒメツリガネゴケ PpSBP 遺伝子群に着目し,これらが GTACT 配列を含む FeSOD プロモーターと in vitro で特異的に結合すること確認した。また,コケ植物 FeSOD プロモーターを導入したタバコ形質転換体でも銅応答性を示した。更に,シロイヌナズナ FeSOD プロモーターは,複数の GTACT モチーフをもち,このプロモーターを導入したシロイヌナズナとタバコ形質転換体も同様に,銅応答性を示した。これらの結果は,GTACT モチーフが銅応答抑制シス因子としてコケ植物から高等植物まで保存されている可能性を示唆している。
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© 2008 日本植物生理学会
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