日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

プログラム細胞死の誘導に関わるシロイヌナズナの転写因子AtbZIP10の機能制御機構の解明
*山本 優香万庭 哲也三賀森 浩紀恩田 沙織田中 淨上中 弘典
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0285

詳細
抄録
これまでの研究により、シロイヌナズナのプログラム細胞死の誘導に関わるbZIP型転写因子AtbZIP10の機能発現が、細胞質リテンションタンパク質であるLSD1との相互作用による核局在の抑制により制御されていることを明らかにした(1)。また、AtbZIP10が微小管プラス端集積因子であるAtEB1と相互作用することも明らかにした(2)。この研究では、精緻な転写制御を行う上で重要なメカニズムである転写因子の細胞内でのトラフィックや選択的分解について注目し、AtbZIP10の機能制御機構の全体像を明らかにすることを試みた。AtEB1変異体(ateb1a/b/c)を用いた実験により、AtbZIP10の細胞質への局在にはAtEB1の機能が関与しないことを明らかにした。また、AtbZIP10が酵母のbZIP型転写因子であるYAP1変異体の表現型を部分的に相補したことから、YAP1と同様にAtbZIP10の核―細胞質間移行がレドックス制御を受けている可能性が示唆された。さらにAtbZIP10-GFP由来の蛍光を指標にした実験により、核におけるAtbZIP10の選択的分解機構の存在が示唆されたと共に、AtbZIP10上の分解に関わる領域についても同定した。
(1) Kaminaka et al., EMBO J., 25, 4400-4411(2006)
(2) 山本優香ら、第48回日本植物生理学会年会、1pE05
著者関連情報
© 2008 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top