抄録
[目的]
我々はブラシノステロイド情報伝達機構解明のため、ブラシノステロイド生合成阻害剤Brzを用いて、暗所発芽時の胚軸の伸長、緑化異常を選抜基準に、アクティベーションタグラインから新規変異体の選抜と遺伝子解析を行った。
[結果と考察]
1,Brz高感受性矮性変異体bss1
暗所発芽時において、通常MS培地条件では野生型と同程度の胚軸伸長を示しながら、Brz条件下において野生型の半分程度の胚軸短化を示すBrz高感受性変異体として半優性のbss1(Brz-sensitive-short hypocotyl1) を単離した。bss1変異体は、弱光条件ではBrz無処理にもかかわらず、胚軸が短化し、さらに、成熟個体は花茎の伸長が著しく阻害された矮性形質を示す。タグ挿入部位の解析、過剰発現体により、bss1原因遺伝子として、細胞質型タンパク質を同定した。35S::BSS1-GFP形質転換体を用いた局在解析では、タンパク質の凝集体と予想されるドット状のGFP蛍光が細胞質と核で観察された。現在、BSS1の細胞内局在、器官別発現などの機能解析を行っている。
2,Brz耐性緑化異常型変異体bpg2
Brz処理により、野生型シロイヌナズナは子葉およびロゼット葉において濃緑化が観察される。Brz存在下において、低緑化形質を示す変異体として劣性のbpg2を単離した。この原因遺伝子として、葉緑体局在型の新規GFP結合タンパク質を同定し、その機能解析を進めている。