日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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新規ブラシノステロイド情報伝達因子の単離
*坂本 知昭藤岡 昭三北野 英己松岡 信
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p. 0439

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抄録
本研究では、新規のブラシノステロイド(BR)情報伝達因子の単離を目的として、BR非感受性イネ変異体の解析を行った。イネの葉身はBRに鋭敏に反応して屈曲することから、葉身が屈曲しない直立葉変異体の解析により、複数のBR欠損変異体とその原因となった生合成酵素遺伝子が単離されている。一方で、既知のBR非感受性変異体はすべてd61のアリルで、その原因遺伝子はBR受容体OsBRI1をコードしていた。d61とは表現型の異なる変異体4系統について解析を進めたところ、3系統はd61のアリルであることが判明した。この結果から、イネにおいて、BRの作用が部分的に抑制された変異体の表現型は、遺伝的背景の影響を強く受けると考えられた。残りの1系統の原因遺伝子は第3染色体に座乗し、d61とは異なると考えられた。この変異体は暗形態形成が起こらない、BR投与で鞘葉が伸長しない、カスタステロンが蓄積するなどの典型的なBR非感受の表現型を示した。さらにd61との2重変異体が相乗的な表現型を示したことから、BR受容体の下流で機能していることが推測された。単離された原因遺伝子はE3リガーゼをコードしていたことから、標的タンパク質のユビキチン化を介してBR情報伝達に機能していると考えられた。
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© 2008 日本植物生理学会
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