日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

イネ脱粒性遺伝子の比較生物学的解析
*小西 左江子高橋 宏和中園 幹生佐藤 豊矢野 昌裕井澤 毅
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0489

詳細
抄録
イネ脱粒性遺伝子qSH1は、BELタイプのホメオボックス遺伝子をコードし、シロイヌナズナのREPLUMLESS(RPL) 遺伝子と高い相同性を示し、種子の基部の離層形成に必須である。シロイヌナズナの解析より、BELタイプとKNOXタイプのホメオボックス遺伝子がヘテロダイマーを形成し、下流の遺伝子を転写調節することが知られている。分子進化系統解析から、RPLと相互作用するKNOXタイプのホメオボックスであるシロイヌナズナBP遺伝子のイネオーソログはOSH15遺伝子であると考えられた。そこで、OSH15の突然変異体であるd6矮性突然変異体とqSH1の準同質遺伝子系統を交配し後代での脱粒性を調べた。その結果、OSH15遺伝子も脱粒性に影響することが示唆された。さらに、OSH15の相補性試験を行い、矮性と脱粒性に相関が見られたことから、OSH15遺伝子はイネの脱粒性遺伝子のひとつであると結論した。上記の交配後代系統を用いた脱粒性と離層形成の解析から、OSH15遺伝子は離層形成ではなく、主に離層の崩壊過程で機能することを示唆する結果を得た。また、組織学的解析からイネの離層では特異的にリグニンが蓄積しないことを見出したので、現在、Lasar microdisection法で切り出したサンプルから調整したmRNAを用いたマイクロアレイ解析によりイネ離層形成に働く遺伝子の同定を進めている。
著者関連情報
© 2008 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top