抄録
PsbPは高等植物及び緑藻に特徴的に存在する光化学系II (PSII)膜表在性サブユニットであり、PsbO, PsbQとともにチラコイド膜内腔側で酸素発生系複合体を形成している。これまでに、PsbPの発現をRNAi法により抑制したタバコの解析から、PsbPの発現抑制がPSII最大量子収率の指標であるFv/Fm値の低下を引き起こすことを報告した [Ifuku et al. (2005) Plant Physiol. 139: 1175-1182.]。しかしながら、PsbPを発現抑制してもPSIIコアサブユニットの蓄積量に大きな変化は見られない。そこでPsbP発現抑制タバコにおいてPSIIサブユニットがどのような状態で蓄積しているのかを明らかにするため、チラコイド膜タンパク質のリン酸化状態やBlue-Native PAGEによるチラコイド膜タンパク質複合体形成状態の解析を行った。その結果、PsbP発現抑制タバコではPSIIコアサブユニットが顕著に脱リン酸化されていること、及びアンテナと結合した活性型PSII (PSII supercomplex)の蓄積が減少し、PSII dimerの蓄積が増加していることを認めた。本発表では、これらの結果をPSII 複合体の動的なライフサイクルの観点から考察する。