日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

緑藻クラミドモナスのステート遷移におけるチラコイド膜の構造変化の役割
*加藤 信泰岩井 優和滝澤 謙二皆川 純
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0587

詳細
抄録
植物は光化学系II(PSII)に結合している集光アンテナ(LHCII)を光化学系I(PSI)へと可逆的に移動させることにより周囲の光環境の変化に適応する機構を備えている。この機構はステート遷移と呼ばれ、LHCIIのリン酸化、リン酸化されたLHCII同士の電気的反発によるチラコイド膜の解離、PSIIからPSIへのLHCIIの移動という3つのプロセスに大きく分けられる。しかし、ステート遷移におけるこれらのプロセスを詳細に解析した例は少なく、また各プロセスの役割も不明な点が多い。そこで、本研究では緑藻クラミドモナスの数種の変異株を用いて暗黒条件下に置くことでステート遷移を誘導し、そのときの蛍光クエンチング解析、ウェスタンブロット法によるLHCIIのリン酸化解析を行った。その結果、PSI-LHCI/II超複合体が形成されない変異株Δycf9においてもクロロフィル蛍光の減少とそれに伴うLHCIIのリン酸化が観察された。更に、このときの細胞の電子顕微鏡写真からチラコイド膜の解離が観察された。これらのことから、緑藻クラミドモナスのステート遷移においてはLHCIIのリン酸化によって起こるチラコイド膜の解離がPSII間のエネルギー移動を減少させる重要な役割を果たしていると考えられる。
著者関連情報
© 2008 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top