日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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アブラナ科植物における種内一側性不和合性を制御する因子の遺伝学的解析
*高田 美信佐藤 陽洋鈴木 剛柴 博史高山 誠司磯貝 彰渡辺 正夫
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p. 0608

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抄録
植物は適切な花粉との受精のために様々な生殖システムを進化させてきた。中でも、雌ずい上で不適切な花粉、花粉管を積極的に排除する機構である受粉時の不和合性に関しては、自家不和合性(SI)の自他認識機構解明を中心に解析が進められてきた。しかし、生殖的隔離を行う場としての受粉機構という観点では、分子レベルでの解析はほとんどなされていない。一般に、近縁なSI種と自家和合性(SC)種の交雑では、SC種の柱頭にSI種の花粉を受粉させた時には和合となるのに対して、逆交雑時には不和合になるという一側性不和合性(UI)の存在が知られている。これは、受粉時の雌ずい上では、自他認識以外にも何らかの情報伝達機構が存在していることを示唆している。
本研究では、自家不和合性アブラナの系統中に種内一側性不和合性現象が見られることを明らかにし、さらにこの現象を制御する柱頭、花粉両因子について遺伝学的解析を行った。B. rapa の「おそめ」系統柱頭とトルコ由来系統花粉との間で特異的にみられるUI表現型はSIに酷似し、花粉は乳頭細胞上で発芽できない、また発芽しても乳頭細胞内に侵入することはできず、不和合性となる。遺伝分析の結果から、この現象を支配する柱頭側因子(SUI)と花粉側因子(PUI)が存在し、さらにSUI, PUIそれぞれ自家不和合性遺伝子座(S遺伝子座)とは独立な1因子で制御されることを明らかにした。
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© 2008 日本植物生理学会
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