抄録
UDP-glucose pyrophosphorylase (UGPase) はglucose-1-phosphateからUDP-glucoseの合成を可逆的に行う酵素であり、植物の炭水化物代謝(糖タンパク質・糖脂質の糖鎖合成、カロース・ペクチンなどの細胞壁合成)に重要な役割をしていることが知られている。シロイヌナズナゲノムには2個のAtUGP遺伝子(AtUGP1、AtUGP2)が存在した。このAtUGP1及びAtUGP2遺伝子はアミノ酸レベルで92%の高い相同性を示した。RT-PCR発現解析より、2つの相同遺伝子は根、葉、生殖器官など、植物全体で発現していた。次に、AtUGP1及びAtUGP2遺伝子におけるT-DNA挿入変異体を解析したところ、atugp1, atugp2の単一変異体では、その表現型は野生型と変化がみられなかった。しかし、atugp1/atugp2二重変異体では、植物個体が著しく矮小化し、雄性不稔も観察された。雄性不稔について、葯の形態観察を行ったところ、花粉母細胞までは正常に胞原細胞が分化していたが、四分子期のcallose膜の異常により、結果として小胞子の異常な形態が観察された。最終的には成熟花粉は全く形成されず、胞子体型雄性不稔性を示した。以上の結果から、AtUGP1/AtUGP2遺伝子は植物の生長・葯でのcallose合成に関与していることが示唆された。